KOROGARO / kengo sato / 佐藤 研吾

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現場の家の扉を開ける、NilanjanさんとMilonさん

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9日夜、Bolpur Stationに到着する。小雨が降っている。しばらくしてNilanjanさんとMilonさんが迎えに来てくれる。Milonさんは新しい車を買っていた。途中で食材などを調達して、まずは現場、つまり建設中の家へ。
暗闇の中、初めて実見する建ち上がったその建築を眺める。外観は簡素であるが、モルタルの塗り壁の微妙な粗面が照明の光で浮かび上がってくる。模型や図面では角を落とした形状を指示していたが、どうやらむしろ上手くピン角が出ている。正面玄関扉はまだ鉄格子だけで外に筒抜けになっている。鍵を開けて中に入ってみる。さすがに興奮する。吹き抜けもあり、また平面形もさほど大きくないので天井はより高く感じられた。天井および梁、そして中央の壁柱は打ちっぱなしのままで、型枠跡と鉄錆とジャンカが空間を支配している。夜はよりそう感じられるのかもしれない。
部屋にはすでにいくつかの木製家具がしつらえてある。庭に続く大窓の正面には大きなダイニングテーブルらしきが据えられている。また大きな「心」と書かれた書が二つ、額装されて室内に飾られている。実はこれは先日送られてきた写真を見て知っていたことではあるが、なかなか強烈である。気を引き締める。Nilanjanさんはこの建築を「Kokoro」と名付けて慕っている。ともかくひとまずこの空間に自分の体をなじませることに集中する。床はホワイトセメントで仕上げられており、裸足で歩くのにも都合がよい。
台所を覗いてみる。小さくて簡素だがとても細やかに上手く使えそうな台所になっていた。日本の合羽橋などで買ってきたという大根おろし機や胡椒入れやお盆などがきれいに並んでいてとても可愛らしい。日本から買ってきた調味料もたくさんある。
吹き抜けの階段を上がって二階へ。鉄製の手摺がすでに付いている。以前に異なるデザインの手摺の図面を送っていたが、どうやら現場の職人が嫌がったらしく最低限の横桟でシンプルに構成されている。この手摺の上にこれから木造の架構を組み上げていくわけであるが、この吹き抜けの空間がいわば肝になるので、詳細に詰めていかなければならない。となればあまり時間はないのである。
ひとまずスーツケースを置いて、Nilanajanさんの実家へ。現場からおよそ5-10分程度の場所にある。夕食をいただく。Nilanjanさんは自分の身体を大事にしているのもあり、決して辛くはない素朴な味のインド料理をいただく。彼の犬、クロとシロに会う。彼らは小さい犬で、インドあるいは日本でもあまり見たことがない姿をしている。
夕食後、再び現場の家へ戻る。日本から持ってきた家具の一部と、自分の祖父母の家にあった桐箪笥を解体して得た古めかしい引き戸を見せる。早速この家具の古部品をどこで使ったらいいかの話し合いになる。Nilanajanさんは自分で家具を設計してしまうくらいでもあり、ものすごく多くのアイデアをもらう。それに負けじと即時返答して、こちらもアイデアを繰り出す。それにつれて木製家具の配置、および「心」の大文字の位置、扇風機の配置の話にもなる。深夜1時まで議論は続いた。けれどもここで折れてはいけない、と頭を振り絞り続ける。話し合いで折れたら一体なにをしにはるばるここまで来たのか分からないことになってしまうからだ。まだまだこれからであるが、いくつかの方向性が見えてきたし、話しているうちにこの空間の様相が少しずつ感じ取れてきた。
議論がひと段落したところで、二階の部屋で就寝。Nilanjanさんは小部屋のほうの寝室を気に入っているらしくそこにはすでに布団がしつらえてあった。大きい寝室に私のための布団を持ち込んでくれていたので、そこで眠った。静かな夜だった。

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